スポンサーリンク

アイデンティティ

子供達
Imagen de SplitShire en Pixabay

私が「外国」なるものと初めて接したのは小学校入学式だった。ごく普通の市立の小学校なのに同じクラスに金髪碧眼そばかすのカナダ人の女の子がいたのだ。彼女は宣教師である父に連れられて数年前から日本に来ていた。これがまあ非常に勝ち気な性格で、1年生なのに6年生を泣かすような子だった。でもなぜか私は彼女とかなり仲良くなっていつも一緒に遊んでいたんだ。ちなみにファーストキスも彼女に奪われてしまった。

彼女の家にも何度か遊びに行ったけれど、緑の芝生のかなり広い庭にボクサーを放し飼いにしていた。そして母屋はいかにも北米的なモダンな造りで、開放的なキッチン、広い居間には弟である赤ちゃんが天井から網で吊るされていてびっくり(今考えるとベビージャンパーみたいなものだったのだと思う)。彼女のお父さんもお母さんもとっても大柄な人達で、見るもの全てがとても日本の一部とは思えないような環境だった。私にとっては人生で初めてのカルチャーショックだった。

その後間もなく私の両親が家を購入したので我が家は他の街に引っ越ししたのだけれど、今度の家はたまたま近隣にかなり大きな外国人居留地があり、地元のスーパーにも普通に外国人がいるようなところだった。彼らと決して親しい交流があったわけではなかったものの、彼らが楽しそうに話す様子は近くで見ていた。

カナダ人の彼女も外国人居留区の子供達もみんな自らの言葉の他に日本語が普通に流暢だった。複数の文化や言葉が存在する環境に存在することが許されていて、外国語を日本語と同じレベルで操れて堂々と振る舞える彼らがキラキラしているように見えてたまらなかった。それが羨ましくて、次第に私は帰国子女やいわゆるハーフと言われる人達に密やかに憧れるようになった。

まあもっとも帰国子女もハーフも自分がなりたいと思ってなれるものではないから、どうしようもなかったんだけどね。


でも成人してから色んな帰国子女やハーフの人達に出会って話すようになって、彼らにも大なり小なりの
アイデンティティの苦しみがあることに気付いた。それまではそんなことも知らずに一方的に憧れていたけれど、キラキラしているように見えていたのはある程度私の想像力の産物であることが分かってきた。

そう言えば私は自分の性的指向での悩みは尽きなかったけれど、自分が当然のように日本人であることを疑ってもいないし国籍などのアイデンティティで苦しんだことはない。でもそれがどんなに素晴らしいことか考えたこともなかった。

まあ結局は「隣の芝は青く見え」ていただけなのかもしれない。


そして今、ゲイだから一生子供は持たないだろうと高を括っていた私は思いがけなく父となった。私の子供達はメキシコに住む(おそらく)純血のメキシコ人なので帰国子女でもなければハーフでもないのだけれど、日本人である父と日本語の氏名を持つことで「複数の文化や言葉が存在する環境」に生きる結果となった。

私は子供達にはアイデンティティに苦しんで欲しくなくて、メキシコ人であることを常に意識するように促してきた。もちろん成人した後は世界のどこに行って生活するかは本人次第だろうけれど、それまではきっと大半をこのメキシコの国で過ごすことになるんだろうし、自らのルーツに誇りを持って欲しかったからだ。


でも先日夫くんに注意された。「そう子供達に『メキシコ人、メキシコ人』と言うな」と。私がポカンとしていると夫くんが話してくれた。

夫くんから見るとどうやら子供達は自分達がメキシコ人であると同時に日本人であるとも意識しているらしい。それはもちろん父の一人である私が日本人だということもあり、文化的・アイデンティティ的に親子として私と繋がろうとしているんだと。そんな中でその父から「いや、お前はメキシコ人なんだ」と言われると日本と親に拒絶されたような気になるじゃないかと。アイデンティティは親が決めるんじゃなく、本人が決めればいい。

そう言われてようやく目が覚めた。その通りだ。親は子供に出来るだけたくさんのオプションを用意してあげることに専念するべきで、最終的にどの道を進むかは子供が選択すればいい。今からわざわざ日本人としてのアイデンティティの芽を摘み取ってしまう必要はないんだ。

親子は血の繋がりだけではないだなんて偉そうなことを言っておきながら、その一方で結果的には「この子達には日本の血が流れてないから」と考えていた自分に苦笑してしまった。よかれと思いながらも、実際にはどこか日本に対して遠慮していた気持ちもあったのかもしれない。でも日本人の私が心を込めて育てるんだから、国籍はどうあれ、子供達が日本人としてのアイデンティティを持ったっておかしくはないんだよね。

最終的に国籍もアイデンティティもどこでもいいよ、でも自分に確固たる自信を持ってしっかりと歩んでいって欲しいな。

↓ よろしければ応援ください
ブログランキング・にほんブログ村へ
↓ よろしければ応援ください
ブログランキング・にほんブログ村へ
子供達
スポンサーリンク
よきしいをフォローする Seguir a YOXY
いまどきのハラペーニョ家族

コメント / Comentarios

タイトルとURLをコピーしました